
「避難指示が出た。すぐ避難所に行くべき?それとも家にいていい?」と、いざという時に判断できますか。避難所に行く?在宅避難?という判断のポイントを知らないまま、とっさに動こうとしても、焦りで頭が真っ白になってしまうことがあります。内閣府の調査によると、2024年の能登半島地震では、避難指示が出た地域の住民の多くが自宅にとどまったことが報告されています。その理由の一つが「どう判断すればいいかわからなかった」というものでした。判断の基準を今のうちに知っておくことが、ご家族の安全を守る大切な備えになります。
「避難」には3つの選択肢があります

「避難」という言葉を聞くと、指定された避難所に向かうことをイメージする方が多いかもしれません。しかし実際には、避難の形は一つではありません。選択肢は大きく3つあります。自宅が安全であれば自宅にとどまる「在宅避難」、親戚や友人・知人の家に移動する「縁故避難」、そして市区町村が指定する場所に向かう「避難所避難」です。
この3つの中で、現在もっとも推奨されているのが在宅避難です。避難所は収容人数に限りがあり、プライバシーの確保も難しく、集団生活のストレスが体調に影響することもあります。特に赤ちゃんや小さなお子さんがいるご家庭では、自宅のほうが子どもも落ち着きやすく、生活リズムを維持しやすいという利点があります。また、縁故避難も、気心の知れた環境で過ごせる点で、有効な選択肢のひとつです。大切なのは「避難=避難所に行くこと」という思い込みを手放し、状況に合った選択を冷静に判断することです。
在宅避難を選べるかどうかの「判断基準」
在宅避難が選べるかどうかは、「自宅が安全かどうか」と「必要な備えが整っているか」の2点で判断します。この確認を、災害が起きた後に焦って行うのではなく、今のうちにチェックしておくことが大切です。次のいずれか一つでも当てはまる場合は、在宅避難を選ぶことができません。

・自宅の壁・柱・基礎に大きなひびや亀裂が入っている
・玄関ドアや窓が変形して開閉できなくなっている
・地盤の沈下や建物の傾きが確認できる
・ハザードマップで浸水・土砂災害リスクのある地域に住んでいる
・自治体から「避難指示」が発令されている
上記に当てはまらず、3日分以上の食料・飲料水・衛生用品が備わっている場合は、在宅避難を選択肢として考えることができます。ただし状況は刻々と変わります。自治体の情報を定期的に確認しながら、悪化した場合はすぐに避難所へ移動できる心の準備と持ち出し袋の準備も、忘れずに整えておきましょう。
3日分・7日分の備蓄の目安や具体的な内容については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
迷わず「避難所へ向かう」べき状況があります

在宅避難が有効な場面がある一方で、絶対に避難所へ向かうべき状況もあります。自治体から「避難指示」が発令された場合は、速やかに従うことが大原則です。「まだ大丈夫そう」という自己判断でとどまることは、非常に危険です。特に注意が必要なのは、水害や土砂災害のリスクが高いエリアです。川の増水や上流の大雨が続く場合、浸水や土砂崩れは数分で急速に進みます。「今は雨が止んでいるから安心」という判断が、命取りになることも実際に起きています。また、火災の危険・ガス臭・近隣の建物被害が多発している場合も、ためらわず避難所へ向かってください。迷ったら、早めに動くことが何よりも大切です。
在宅避難を「続けられる」かどうかを見極める
在宅避難を選んだ後も、状況は変化し続けます。最初は自宅にとどまれると判断した場合でも、翌日・翌々日と状況が悪化する可能性があります。在宅避難を安全に続けるためには、3つの条件が満たされていることを定期的に確認することが必要です。

1つ目は「建物の安全」です。余震や続く雨によって、最初は気づかなかった亀裂や傾きが現れることがあります。2つ目は「情報の継続的な収集」です。自治体の公式SNS・気象庁のホームページ・防災ラジオなどで、避難情報の変化をこまめに確認することが欠かせません。3つ目は「備えの残量の確認」です。水や食料がどれくらい残っているかを毎日確認しましょう。不足が見えてきたら早めに次の行動を検討することが大切です。在宅避難は「家にいれば安心」ではなく、「状況を見ながら続けるかどうかを判断し続けるプロセス」だと心得ておきましょう。
「避難所にも在宅にも」対応できる備えを整えておく
在宅避難と避難所避難、どちらを選んでも「事前の準備」が判断の余裕を生みます。慌てた状況で「何を持っていくか」を考えていては、大切なものを置いていってしまうことがあります。今のうちに持ち出し袋をひとつまとめておくことで、いざ避難所へ向かう必要が生じた時でもすぐに動けます。以下を参考に、1〜2日分の持ち出し袋を今のうちにまとめておいてください。
・飲料水(500ml×人数分)と食べ慣れた非常食(1〜2日分)
・モバイルバッテリーとスマートフォンの充電ケーブル
・服薬中の薬・お薬手帳のコピー・保険証のコピー
・現金(小銭を含む)・マイナンバーカードまたはコピー
・タオル・マスク・除菌シート・携帯トイレ
・赤ちゃんがいる場合は液体ミルク・おむつ・おしりふき
持ち出し袋にそのまま使える非常食や防災グッズは、こちらからご確認いただけます。
持ち出し袋は玄関や寝室のそばに置き、年に1〜2回は中身の消費期限や季節の変化に合わせて更新しましょう。在宅避難のための備え(食料・水・簡易トイレなど)と、避難所用の持ち出し袋の両方を整えることが、どんな状況でも動ける備えになります。
防災バッグの中身と重さのバランスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
まとめ|「在宅」か「避難所」か、今のうちに判断基準を持っておく
避難所に行く?在宅避難?という判断は、災害が起きてから考えるのでは遅いことがあります。「避難」には3つの選択肢があること、在宅避難を選べる条件、絶対に避難所へ向かうべき状況、そして在宅避難を続けるための見極め方。これらを今のうちに知っておくことで、いざという時に慌てず冷静に行動できます。家族で話し合っておくことが、防災準備の中でもとりわけ大切な一歩になります。
在宅避難・避難所どちらにも対応できる備えをまとめてそろえたい方は、ソナエラボの防災セットをチェックしてみてください。

