「地震が来たら、どうすればいい?」——お子さんに聞いてみたことはありますか。子どもは、親が一方的に決めたルールを「知っている」だけの状態と、自分で考えて「決めた」ルールの場合とでは、いざという時の行動に大きな差が生まれます。内閣府の防災白書によると、災害時の初動行動は「事前に決めていたかどうか」によって大きく変わるとされています。どれだけ食料や水を揃えていても、子ども自身が「何をすればいいか」を知らなければ、いざという時に動くことができません。

防災の備えは、物を揃えるだけでは完成しません。子ども自身が「自分はこうする」と言える状態をつくることが、本当の備えです。この記事では、子どもと一緒に決めておきたい防災ルールと、年齢に合わせた伝え方をお伝えします。

なぜ「子どもと一緒に」決めることが大切なのか

親が一方的に「こうしなさい」と決めたルールは、なかなか子どもの記憶に定着しません。でも、「どうしたらいいと思う?」と一緒に考えながら決めたことは、子ども自身の中に「自分で決めたこと」として刻まれます。心理学の分野でも、自分が参加して決めた行動は、いざという時に自然と出やすいことが知られています。防災ルールも同じ考え方が当てはまります。子どもを「教える相手」としてではなく、「一緒に考えるパートナー」として関わることが、実際に動ける力を育てることにつながります。

「もしも」の時に、親がそばにいないことは十分にありえます。例えば、登下校中・習い事の帰り道・家で一人の時間——こうした場面で、子ども自身が「自分はこうする」と決めているかどうかが、いざという時の判断の差になります。「あの子は一人でも動ける」という安心感は、親子双方にとっての大きな支えになります。

年齢に合わせた伝え方で始めよう

3〜5歳:体を使って覚える
幼児期のお子さんには、言葉での説明より「体で覚える」が有効です。「ぐらぐらしたら、ダンゴムシになってね」と言いながら、一緒に頭を抱えてしゃがむ練習をしてみてください。ゲームのように繰り返すうちに、自然と体が反応できるようになります。「こわいことが起こるかもしれない」という不安を与えるより、「こうすれば大丈夫」という安心感をセットで伝えることがポイントです。

小学生:言葉と場所でセットで確認する
小学生になったら、「どこへ逃げるか」「誰のところへ行くか」を言葉と場所でセットにして伝えましょう。さらに学校の帰り道にある避難場所を一緒に歩きながら確認するだけで、子どもの中に具体的なイメージが生まれます。「先生に言う」「〇〇さんの家に行く」という選択肢を、子ども自身に考えさせることも大切です。子どもが自分で言葉にできた時が、「知っている」から「動ける」に変わる瞬間です。

子どもと一緒に決めたい「防災の約束5つ」

約束を決めることは、難しいことではありません。「もしもの時に自分はこうする」という具体的な行動を、5つのポイントに絞ってみましょう。まずは親子でゆっくり話し合う時間を作ることが、何より大切です。

揺れを感じたらすること:低くなって、頭を守って、揺れが止まるまで動かない
家族の集合場所:「第一の場所(近く)」と「第二の場所(少し遠く)」の2か所を決める
助けを呼ぶ方法:近くの大人に声をかける・110番・119番の使い方を確認する
一人でいる時の行動:学校・習い事先・自宅それぞれの場合を想定しておく
家族への合言葉:離れた時に本人確認できる、家族だけが知っている言葉

この5つは、「決めておくこと」自体が目的ではありません。子ども自身が「言える」「答えられる」状態になっているかを確認することが大切です。ぜひ「何かあったらどこへ行く?」と子どもに聞いてみてください。答えられた時のその子の顔が、備えができている証拠です。

家族が離れている時に地震が起きた場合の行動については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

「防災の約束」を目に見える場所に残そう

子どもと決めたルールは、「話したから大丈夫」で終わらせず、目に見える形で残しましょう。小さな紙にまとめて冷蔵庫や玄関に貼っておくだけで、日常的に目に入り、定着しやすくなります。子ども自身が書いてくれると、さらに「自分のこと」として意識しやすくなります。特に「集合場所」と「連絡先」は、子どもが自分で覚えている状態が理想的です。スマートフォンが使えない状況でも、頭の中に入っていれば行動できます。防災カードを防災バッグに入れておく方法も有効です。カードを一緒に作る工程自体が、子どもにとってよい防災教育の機会になります。「見える化」することで、ルールが家族の日常に自然と溶け込んでいきます。

お子さんが自分で持てる防災ポーチや、家族向けの防災セットはこちらからご確認いただけます。

年に一度「家族で見直す日」を決めよう

決めた防災ルールは、時間とともに見直しが必要になります。子どもの学年・通学路・習い事の場所は毎年変わります。去年決めたことが今の生活に合っているか、定期的に確認することが大切です。おすすめの見直しタイミングは次の3つです。

9月1日(防災の日):学校でも防災訓練がある時期で、家族でも話しやすい雰囲気
3月・4月(学年の切り替わり):通学路や生活環境が新しくなるタイミング
子どもの誕生日:年齢の変化に合わせてルールをアップデートする機会

見直しは特別な準備をしなくても大丈夫です。夕食の後に「あのルール、まだ覚えてる?」と一言聞くだけでも十分です。子どもが「もう知ってるよ」と言えたなら、それが最大の成功です。毎年少しずつ更新することで、防災ルールは家族の「生きた約束」になっていきます。

防災ルールと合わせて備蓄の見直しも行いたい方は、こちらのチェックリストも参考にしてみてください。

まとめ|子どもと決めた防災ルールが、いつか命を守ります

防災ルールは、親が「決めておくもの」ではなく、子どもと「一緒に作るもの」です。年齢に合った伝え方で、子ども自身が「自分はこうする」と言える状態をつくることが、本当の備えにつながります。難しく考えなくて大丈夫です。今日、夕食の後に「もし地震が来たら、どうする?」と一言聞いてみることが、最初の一歩になります。ぜひご家族で話し合う時間を、少しだけ作ってみてください。

防災ルールと合わせて家族の備えをまとめてそろえたい方は、ソナエラボの防災セットをチェックしてみてください。